私立高校入試のしくみ
歎願推薦と併願優遇
単願推薦も併願優遇も12月10日過ぎの中学校と高校の相談会にて決まります。基本的に学校の通知表(評定)をもとにして決まります。
高校側の要求する数値を満たしたものが、対象となり、相談会にて審査を受けます。高校側は、この相談会で大体の合否の目安を提示してくれます。したがって、絶対ではありませんが、かなりの確率で合否を占うことができます。つまり、落ちない(落ちにくい)推薦です。中学校と高校側の信頼関係に基づく制度ですので、相談で「大丈夫でしょう」との判定があれば、まず間違いなく合格します。中学校での校則違反などが相談会後に発覚し、推薦が取り消された例もありますので、相談会で大丈夫との言葉をもらっても、気を抜いてはいけません。
高校側の推薦基準は、各高校によってまちまちですが、2学期の初めごろには、だいたい決定しています。1学期の数値でも構わない高校もあります。通知表の数値が1や2低くて届かない場合も、簡単にあきらめてはいけません。多くの高校は、加点事由を設けています。加点事由は三大検定(英検・漢検・数検)や、生徒会活動や部活の成績、活動状況や部長経験などがあります。逆に欠席・遅刻・早退などが多いと欠格事項となりますし、評定に1や2があると不可という学校もあります。
単願推薦は、その学校を第一志望とし、その学校に合格したら他の学校は受験できません。受験日も1月の末に設定され、問題は適性検査という名称などで一般入試に比して易しい問題です。
偏差値的に上位にある学校(青山学院高校、明治学院高校、慶應義塾女子など)の推薦は、推薦基準はあるものの、多くの学校とは違い、落ちる推薦です。推薦基準は、出願基準にすぎません。つまり、出願できる資格を表しているだけで、落ちる可能性のある推薦です。問題も中堅校とは違い、難易度は一般入試と同等、若干易しいといった程度で、簡単ではありません。
併願優遇(東京都)
併願優遇は、第一志望の高校に合格しなければ、その学校に入るという約束のもとに行う推薦入試です。試験日と受ける問題は2月10日・11日などの一般入試と同日・同じ問題です。
最近は、多くの学校が、公私併願を認める、すなわち、第一志望が公立に限らず、他の私立校でも構わないということになっています。併願優遇の基準を満たしてその制度を利用すれば、チャレンジ校といわれる学校を1校と言わず、複数校受けることが可能になります。
ただ、たいていの生徒は都立を第1志望とし、滑り止めとして1校私立の併願を取るというのが最近の傾向です。
一般入試
内申書、面接に加えて、おもに英語・国語・数学の3教科の学力試験の得点をもとに選抜する高校が多く、なかには教科を選択させる高校もあります。また、学力試験以外に面接や作文、実技を行う高校や、学力試験をマークシート方式で行う高校もあります。
都立高校入試のしくみ
推薦入試
私立の推薦入試が、基本受かる入試なのに対して、都立の推薦は落ちる入試です。普通科全体のおおよその倍率は3倍前後です。人気校については6倍を超える学校も見られます。どの都立高校も、調査書点(内申点)と面接(グループ討論を含む)・小論文(作文)との総合得点で判定します。調査書点(内申点)と面接・小論文の比率は5:5になっていますので、調査書点(内申点)が取れていないと合格は覚束ないことになります。特に一般入試よりひと月早い実施になりますので、早めに確実に合格しておきたいと考えるご家庭も多く、受験校のランクを下げて受けてくる受験生も多く存在します。一般入試で受ければ、その学校より上位の学校が受かる可能性が高いにも関わらず、です。したがって、一般入試であれば普通に受かる生徒が不合格になる可能性が高い傾向があります。
上から下がってくることがない最上位の難易度に位置する学校の受験を考えるなら、受験機会を増やすという意味で、もちろんチャレンジする意味は大きいです。特に男女合同選抜となりましたから、合格ラインぎりぎりの男子生徒は要注意です。偏差値でほぼ同じ男女を比べた場合、学校の内申が女子の方が高い傾向にあるからです。また、小論文・作文、面接・グループ討論の対策も別途必要になる点、推薦を受けるかは慎重になるべきです。落ちることによってショックを受けやすいナイーブな生徒は、特によく考えていきましょう。
受験がひと月早く終わりますが、高校から課題が出されたり、一般入試の問題を受けなければならない場合もあったりと、そのひと月遊んでいられるわけではありません。
一般入試
東京の高校入試で最後にあるのが、都立一般入試です(※二次募集等を除く)。英・数・国・理・社の5教科の各100点満点ですが、1.4倍されて700点満点になり、内申書点の300点とスピーキングテスト20点と合わせて1020点満点で、合否が決定されます。内申書とスピーキングテストは一般入試当日以前に知ることができますので、合格予想ラインに届くには当日何点取ればよいかをおよそ計算することができます。年によって難易度が変わるため、合格ラインは点数的には変わるかもしれませんが、事前に発表された倍率から偏差値的にどのくらい上昇するかも予測できると思います。都立の普通科の倍率はおよそ1.3倍から1.4倍ほどです。もちろん、人気校は2倍を超えますし、1倍を切る学校もあります。
模擬試験の結果や成績動向や人気度には敏感になって、志望校を絞っていきましょう。 特色のある学校では、傾斜配点をとっているところもありますので、得意科目を活かせる形での受験も考える価値はあるでしょう。
自校作成問題を採用している学校も、進学指導重点校を中心に存在します。英・数・国がその学校オリジナルの問題となります。理科・社会は全都立高校共通となります。英語のリスニングも都立国際高校を除き、共通です。
日程的に最後であり、その時に合格ラインに達していればよいので、あきらめずに勉強し続けることが大切です。また、倍率が考えていた以上に上がった場合は、別の学校に願書を差し替えることも可能です。ただし、私立入試の日程との兼ね合いもあり、機動力が求められます。
調査書点(内申点)とは
生徒一人一人の成績や学校活動をまとめたものが調査書(内申書)です。この調査書(内申書)の「各教科の学習の記録」に記載される成績が調査書点(内申点)であり、合否の判定資料になります。英語、数学、国語、理科、社会の5教科に加えて、音楽、美術、保健体育、技術・美術の実技4教科が対象となります。
実際の計算方法は「学科5科目の評定の合計 × 1 + 実技4科目の評定の合計 × 2」ですので、実技の評定は2倍されることに注意が必要です。
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